月別アーカイブ: 2019年12月

支援してくれる人

彼女は地元の小劇団のスターだった。スターと言っても所詮ミニマムワールドでの話である。実際に大手の芸能事務所や、映画やドラマのオーディションにも参加していたようだが、全く引っかからず、結局は生活もままならず、演劇活動をしながらアルバイトに時間を忙殺される人生を送っていた。
僕は彼女の芝居が好きだった。ほとんど観客がいない芝居小屋で、彼女に魅了されていたのは僕だけだったかもしれない。全然儲からない芝居の仕事を続けるには根気がいる。趣味でやるお芝居とは違うのだ。芝居をするために生活をする。そんな気迫が彼女から感じられた。
そして、僕は彼女を支援することにしたのだ。貴重な時間をアルバイトに忙殺されるのは、生活のためとは言え哀しいことだ。僕が彼女にとって支援してくれる人、つまりはスポンサーになると言うことだ。
もちろん、彼女は訝しんだ。それはそうだろう。スポンサーには宣伝効果と言う見返りがある。では、彼女が僕に何かの見返りができるかと言うと、それは体しかない。この手の話には色恋がつきものだ。ストレートな物言いをすれば「支援してやる代わりにやらせろ」と解釈されるだろう。しかし、僕にはその気はなかった。
支援してくれる人
偽善でも何でもない。僕は純粋に彼女がアルバイトしている時間を芝居の稽古に当てて、それが世間に認められてビッグな存在になればそれでいい。僕にはこの世界で一番最初に彼女の演者としての魅力に気付いて支援をした人、との勲章がつく。それだけで自負心は満たせるのだ。
結局、僕は彼女のスポンサーになった。彼女自身が無償で支援してくれる人である僕に気を使って迫ってくることもあったが、それはきっぱりと断った。せいぜい食事を一緒にするくらいの関係だ。僕なんかよりも、もっと広い演劇の世界に目を向けて自分の可能性を最大限に見出してほしいと思ったのだ。
しかし、それは叶うことはなかった。支援してくれる人を得た彼女からは、急速に魅力が失われていったのだ。彼女は支援してくれる人に依存してしまい、その芝居にはぎりぎりの生活を送っていた時に見せていたような気迫が感じられなくなったのである。彼女に幻滅した僕は支援を打ち切るに至った。
こんな事になるなら、一発くらいやっておけばよかった、と、その後、僕と関係が切れた後にAV落ちした彼女の姿でオナニーしつつ思う日々である。
パトロンの意味
支援掲示板